2011年01月24日

薄桜鬼 風間×千姫【藤の花咲くころ@】

薄桜鬼の二次創作小説、風間×千姫やっと書き始めました。
原作に沿って進めたのでちょっと長くなりそうです。

【お読みになる前にこれ読んでね】

この二次創作小説はゲーム薄桜鬼の平助ルートにそって作りました。
ですが視点は風間と千姫になっています。
千鶴ファンの方には申し訳ないのですが千鶴の心情は出てきません。

作者の思いつきで書いているものなので
多少ゲームとは違うところもあるかもしれませんがご了承ください。

また、少々長くなりそうなので何話かに分けてUPします。
この章では完結になっていません<(_ _)>

風間×千姫ということですが、作者は千鶴ファンでもあります。
×千鶴の小説はたくさんあるみたいなので
あえてこの組み合わせで書いてみることにしました。
そこのところ、ご理解ください。

ではお読みになるかたはこちらからどうぞ→



風間千景×千姫



【藤の花咲くころ@】



嘉永3年。
京の北の外れの地で鬼の血族達が集まっていた。
希少になった鬼族のこれからのことを話し合う場だった。

その屋敷の外で子供が2人退屈そうにしていた。
年は7つごろ。

庭から大人たちが話し合っているのを眺めていた2人だったが
ふぁ〜〜とあくびをした女の子の方が
もう一人に声をかけた。

「ねえ、蹴鞠やらない?」

声をかけられた男の子は横目でチラリとその少女を見た。
腕を組み顎を上げてプイっとそっぽを向いた。

その態度にムッときたが少女はもう一度その男の子の
顔を覗き込みながら言った。

「ねえってば、蹴鞠やろうよ。」

男の子はまたチラっと少女を見ると
面倒臭そうに言った。

「やってやってもいいけど?」

「やろうやろう!」

少女は男の子の手をとり庭の広い場所へ走り出した。

「なっ!」

どんな反応でくるだろうと思っていた男の子は
その少女の突然の行動にびっくりした。
そして手を繋いでいることに思わず赤面した。


「は、離せよ!いきなり引っ張るな!」

そう言って勢いよく手をふりほどいた。

「あ、ごめん・・」少女が言った。

男の子はまたそっぽを向いた。

「あのー。怒っちゃった?」

少女は男の子の表情を窺うように言った。

「怒ってなどいない!」

「ふーん。だったらほら!やろう!蹴鞠!」

少女が何の悪気もなく二コリとする笑顔に
男の子の胸がドキンとなった。
なんだかこの少女の勢いにすっかり飲みこまれているような気がして腹が立った。

しかし何かを言う間もなく毬が飛んできた。

何度蹴り返しても戻ってくる毬に嫌気がさして
遠くに蹴るつもりで力いっぱい蹴った。

でもその勢いのついた毬は遠くではなく、少女の左のこめかみに当たった。

目の前に星が散ったようになり、同時にこめかみのあたりに痛みを感じた少女は
その場にしゃがみこんだ。

「――っ!」

あの勢いで蹴った毬をまさか当ててしまうなんて・・・
びっくりした男の子は自分のやってしまった事に
どう対処していいのか分からずまた腹が立った。

「何やってるんだよ、なんで避けないんだよ!」

そう言ったとたんにしゃがみこんだ少女からポタリと赤いものが落ちたのを見て
ハッと息を飲んだ。

男の子は少女に駆け寄り

「どこ、どこ怪我した?見せろ。」

少女は「大丈夫、ちょっと痛かっただけ。」

と言ったがこめかみを押さえる手にも血が流れ落ちていた。
男の子は急いで自分着物の袂でその傷口を押さえた。

「あ、着物が汚れちゃうよ。」

「着物なんてどうでもいい。それより血を止めなきゃ。」

2人の目が合った。
まっすぐな透き通る綺麗な少女の瞳に男の子はまた胸がドキンとした。
そして少女の方もまた同じように胸がドキドキとしていた。
お互い目を伏せてしばしの間沈黙が続いた。

そこに事が起きたことに気がついた大人たちがやってきた。
少女が流血をするほどの怪我をしているのに焦った大人たちは
いそいで2人を引き離した。
鬼族であったため、傷口はもう塞がりかけていた。

2人はその後言葉を交わすこともなく、会うこともなかった。

しかし男の子はその日の出来事以来、その少女のことが気になっていた。
日がたつほどに少女の凛とした表情や態度、笑顔や繋いだ手の感覚を鮮明に思い出す。
そしてその思い出は胸を熱くした。

この自分が女の子のペースに巻き込まれるなんて初めてだ。
それから、まだ、あの子に謝ってないな・・・

男の子は名前も知らぬ少女のことをなかなか忘れることはできなかった。
少女もまた、何度も男の子を思い出したが
時は流れ2人はそれぞれ成長しあの時の思い出も心の奥の片隅にしまわれた。





慶応3年。

闇夜の京の町は思った以上に物騒な雰囲気を漂わせていた。
風間千景と天霧は人の気配のない町の道の真ん中を堂々と歩いていた。

風間は天霧の話だした話題に興味が湧いた。

「八瀬の姫?」

「はい。この京に住む鬼姫で鈴鹿御膳の末裔だと聞きました。」

「鈴鹿御膳の末裔か。」

「純血であるため、あちらもそれなりの相手を探していることでしょうね。」

「ふむ。」

風間家と同格であろう鬼族の娘か。
その姫を我がものにできるならそれに越したことはない。
風間はそう思った。

しかしお互い鬼族の血筋を守っていくとなれば
そうもいかないだろう。
この時代、鬼族は希少になってきている。

考えても無駄か・・・

風間達は東国の純血を持つ娘、雪村千鶴を嫁にするつもりでいた。
しかしその娘は新選組に囲われていて
なかなか思うようにはいかなかった。






伏見の戦い後、例の東国の娘、雪村千鶴が大阪城へ向かうという情報を仕入れ
風間と天霧はその道中を狙おうと考えた。

案の定、雪村千鶴に出会えたが厄介な相手、新撰組の藤堂平助が共にいた。
風間は藤堂平助を切り伏せたが羅刹の藤堂はしぶとく飛びかかってきた。
この男の雪村千鶴を守ろうという気持ちは半端なものではないとわかった。

そこへさらに見知らぬ女達が2人現れた。
凛とした態度で千鶴の前に立ちはだかるこの女は?

君菊という女が言った。
この堂々と立ちはだかった女は京に住む旧き鬼の血族の姫であると。

風間は目を見開いた。

この女が噂の八瀬の姫か。

明らかに敵意のある態度、そして射抜くような瞳は
まっすぐに風間を見ていた。

その瞳を見たとたんに風間の胸の奥で何かが疼くような気がした。
この瞳・・・

とても懐かしくて甘い疼きだった。
しかしそれが何なのかまだわからなかった。

その姫は千姫と呼ばれていた。
どうしても雪村千鶴を渡したくないようだ。
その代わりにこの鬼姫は言いだした。

「あなたの子供を私が産んであげる。」

何て女だ。そこまで言うか。

「俺の妻になるというのか。」

千姫の目が鋭く風間を見る。

「あんたの妻になるつもりはないし、風間家に入るつもりもないわ。
これは契約よ。」

風間は「契約よ」と言ったその千姫の言葉が
なぜかグサリと胸を突かれたような気がした。

なんだこの女は・・・妙な心情をかき消すために
わざとプライドに触るようなことを言いたくなった。

「しかしおまえが子を産むと言っても
目の前にいる東国の純血をもつ雪村千鶴をあきらめる理由にならない。」

その言葉はひどく千姫を怒らせた。
風間は千姫の喝を浴びた。
この反応に風間はなぜか満足を覚えた。
おもしろいやつだ―――

風間は千姫の鋭い瞳をじっと見つめた。


千姫は自分を見つめるその瞳を実は前から知っていた。
西の鬼、風間家の頭領、風間千景。
噂には聞いていたけど本当に傲慢な態度な奴!
あの頃とちっとも変らない。

偉そうに。私を何だと思っているの?


いつだったか京に鬼族達が集まった日、
まだ7つくらいの時だったか。
この風間と蹴鞠をしたときのことを思い出していた。
あのときの態度と相変わらずだ。

あの日、鬼姫は小さな初恋をした。
ずっとしまい続けてきた小さなころの想い。
今、目の前にかつて小さな初恋をした風間千景がいる。
でもこれは嬉しい再会とはいえないものだった。

傲慢な態度で風間家の種を存続させるためだけに
友を奪おうとするただの鬼が今私を見つめている。
あれは遠い日のこと。
そう思い出を振り払った。

しかしこの時、見つめ合うその2人の瞳に間違いなく何かが再び芽生えた。

風間は千姫にむかい言った。

「薩摩の幕府打倒が成れば、貴様を迎えに行く。

 天霧、帰るぞ。」

風間は歩き出したがもう一度振り返り千姫を見た。
京の凛々しき鬼姫か。おもしろい・・・

その瞬間、遠い記憶が蘇った。
もしや・・・あの八瀬の姫は・・・あの時の。
立ち止った風間に天霧が声をかける。

「どうしました?」

「いや、気にするな。」

熱いものが胸に広がるような感覚だった。
あの時の少女の瞳と千姫の瞳が重なった。

風間は思った。近いうちに必ず会いに行こうと。
そして次はもっとましな会話ができればいいと。






慶応4年。

風間は薩摩に辻斬り退治を命じられ夜の京の町を歩いていた。
辻斬り退治など、命じられてやるようなものではなかったが
その辻斬りは羅刹隊かもしれないという噂があったので引き受けた。
鬼の純血である風間にとって羅刹隊はまがい物。
まがい物達がいいように振舞っているのが許せなかった。

ぶらぶらと歩いていると藤堂平助と雪村千鶴に会った。
この2人も自分と目的は一緒らしかった。

羅刹隊を一緒に探していたがとくに見当たらず
屯所に向かった。

屯所につくと、羅刹隊を仕切っている山南と千姫が何やら言いあいをしていた。
風間は目を疑った。
何故千姫がまがい物と一緒にいるのか。

言い知れぬ不安がよぎった。

3人で屯所の中に入って行った。
そのとき、山南が千姫を抱き寄せるのが見えた。

「なっ・・」
目の前の光景に驚いた。

山南が無理やり千姫に口づけをしていた。
しかしそれはただの口づけではなかった。
羅刹である山南の血を千姫に飲ませたのだった。

山南は千姫に北の地に築く羅刹の国の盟主になってもらうために
血を飲ませたと言った。

「鬼が我ら羅刹の血に屈服した。」

その山南の言葉に風間は怒りに満ちた。

――まがい物が純血の鬼を手にかけた――

風間は羅刹の血を飲み苦しむ千姫と目が合った。
風間を見るその目は切なく潤み声にならない悲鳴を上げていた。

やるせない気持ちと怒りが周囲の空気さえも殺気に満ちたものにした。


「おのれぇぇ!」

しかし羅刹の隊士たちがつぎつぎと現れ山南と千姫を隠した。
そしていつの間にか山南と千姫は姿を消していた。

羅刹の隊士を切っても切っても限がなかった。
倒している間に山南と千姫を見失った。

風間は愕然とした。
目の前でこんなことになるとは。

千姫の苦しむ姿と、潤んだ瞳を思い出し
山南へのとてつもない怒りが増すばかりだった。

もはや千姫は純血ではなくなった?
そうは思いたくなかったが
現実だった。

不知火は千姫はあきらめて雪村千鶴を手に入れればいいだけのことだと言った。
確かにこの風間家の血を存続することだけを考えればいいのだ。

今までの自分ならすぐにでも千姫を諦めただろう。
しかし今はそうではなかった。

思っていることは鬼の純血じゃなければいけない、ではなく

――あの千姫でなければいけない。

自分でもどうかしているのではないかと思ったが
心のずっと奥の方から湧いてくる何か。
それをどうにも止めようがなかった。

追うしかない。
風間は北へ向かった。

  

・・・続く


***********************************************

続きは書きあがりましたらUPします。


風間と千姫、会ってから恋に落ちさせるには時間がイマイチ足りないと思い
小さなころに出会っていたという設定で始めました。
小さなころの風間さんってどんなだったんだろうねぇ。
絵も描いてみたくなったよ('-')

お読みいただきありがとうございました。




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posted by 菫星 at 18:34| Comment(0) | 薄桜鬼 二次創作小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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