2011年01月10日

雅恋二次創作小説【文月鷺草】壱号×参号

【お礼(^-^)】7日〜9日に5つ拍手いただきました。ありがとうございます!
リクエストなども拍手のメッセージで受けてます^^

拍手でリクエスト頂いていた雅恋の壱号×参号の二次創作小説が
書きあがりましたのでUPします。

ゲームではあまり甘いシーンがなかった壱号君ルートですが
このお話でも甘さはちょっと抑え気味になってるかも^^;;
あまーく書きたいのになぁ。
壱号君の場合また続き書くかもしれないです。

今回のお話はゲーム雅恋の壱号ルート終了後のお話になっています。

ではお読みになるかたはこちらからどうぞ→


【文月鷺草】





今日私が受けた仕事寮のお仕事は
ある貴族の方が七夕で想いを寄せている姫君に
鷺草を山ほど贈りたいので採ってきてほしいという依頼。

壱号君と2人で行くことになった。

「はぁ・・賀茂川沿いに上流へ向かえば
どこかしらに咲いていると思うよ。」

壱号君が面倒臭そうに言う。

「壱号君、せっかくお花を採ってくる仕事なんだから
楽しみながら行こうよ。」

「ったくさぁ。
花なんて自分で採りに行けよって貴族のやつらに言ってやりたいよ。」

「いろいろ忙しいんだよ。きっと。」

「やたら重たい装束着て座ってるだけだろ?」

壱号君も貴族がお嫌いな清明様と同じこと言う。
さすがに御主人さまに似るものだなぁ。

壱号君は面倒だなんて言うけど
私は壱号君と2人だけになれるのが嬉しい。
だって、想いを伝えあった私達なのに
なかなか2人きりになれるチャンスがないし
それに・・・

あいかわらず壱号君はなんだかそっけなくて・・・

弐号君は壱号君が照れやでついつい突っ張ってしまうんだって
言うけど、もう少し仲良くしてくれないかなぁ。

って、壱号君はやい・・・置いていかれるー!

「まってー!」

壱号君がため息をつきながら振り返る。

もう!ほんとに冷たいんだから。
せめて手くらい繋ぎたいよ。

「遅いな。なにボーっと歩いてんだよ。
 ほら。ん。」

えっ。私が思ったこと通じたのかな。
壱号君が手を差し出す。

私は思わずびっくりして壱号君を見た。

「え・・・」

「なっ、いやならいいんだよ、いやなら。」

壱号君が真っ赤になった。

「え、ちがうの、まって。」

壱号君の手をしっかりと握った。
2人して顔を真っ赤にして歩いた。

何を話していいのかわからなくなって
何か話のきっかけを・・・
2人共多分同じことを考えている。
鷺草はどこだろ〜。

賀茂川の土手に着きやっと鷺草を見つけ、
2人で同じことを叫んだ。

「あったー!」

その瞬間壱号君の手がパッと離れる。
手をつないでくれたのはいいけど、
まるで早く手を離したかったみたい・・・

少し寂しい気分になった。

鷺草は数本しかなかった。
貴族の方が望んでいる『山ほど』という量を集めるのは
時間がかかりそうだった。

「ちょっとさ、2手に別れて探そう。
俺、もう少し上流の方行ってくる。
おまえはここらで探してて。」

「うん。」

「ここら辺にいろよ。ぜったい。」

「はーい。」

壱号君は上流へ向かって歩いて行った。
なんか2人だけの時間楽しみたかったのになぁ。
小さなため息をついて壱号君の後ろ姿を見送った。

ここら辺か。
さきから気になってたあの向こう岸にある岩の上の花。
あれきっと鷺草だよね。

浅瀬だし、渡っちゃおうかな。

緩やかにさらさらと流れる川は足首程の水量だったので
裸足になり向こう岸へと渡った。

岩はごつごつところどころ飛び出ていて登れそうだった。
これなら登れそう。

岩の出っ張りに足をかけ、手でなんとかつかめるところを探しながら
やっと鷺草に手が届きそう。
片手を伸ばした瞬間、片足の岩が崩れた。

うわっ!

顔やら足に痛みを感じて気がついた時には
岩の下に仰向けに倒れていた。

「い、痛ぁ・・・・」

ゆっくり起きあがると足首にひどい痛みが走った。

「いっ・・」

足首を見るとみるみる赤く腫れてきた。
やばいー。どうしよう。

口の中は血の味がする。
頬のあたりがひりひり痛い。

壱号君、早く戻ってきて・・・


「こんなところでどうなさったんです?」

突然の人の声にびっくりした。
振り向くと上質で高貴な色の狩衣を着た男の人。

背が高くて、とても・・・とても綺麗な顔立ちの人。
見惚れてしまった。

「ああ、大変だ、怪我したんですね。」

その人は駆け寄るといい香りのする布で顔にそっと
押しつけた。

「こんなかわいい顔に痛々しい傷が・・・
いったいどうしたというんです。」

「あ、あの、実は・・・
この岩から落ちまして・・・」

恥ずかしい・・・

「あなたのような華奢な方がそんなことを?

なぜ?」

「えっと、あの岩の上の鷺草を採りたくて。」

その人は岩を見上げ鷺草を確認すると
私を見て二コリと笑った。

「まっていてください。」

その人はヒョイと岩に片足をかけると
サギ草を採ってくれた。

「はい。どうぞ。」

「ありがとうございます!」

「ところで君は・・・」
その人が私に何か聞こうとしたとき

「おーーーい!参号!」

あ!壱号君!
壱号君は川をパシャパシャと水しぶきをあげながら
こちら岸に来た。

「おまえ、それ、誰?」

壱号君が少し不機嫌そうに言う。
でも私の状態に気がついて駆け寄った。

「お、おい、おまえ怪我したの?!」

「お連れの方ですか。良かった。
彼女は顔と足を痛めてしまったようです。」

そう言うと男の人は立ち上がった。

「ではあとはお連れの方にまかせてよろしいみたいなので
私はこれで失礼いたします。」

「あの、ありがとうございました。」

「いえいえ、それではお大事に。」

二コリと微笑むとその人は行ってしまった。
壱号君はやっと行ったとばかりにフゥっと言うと

「おい、どうしたんだよ、なんでこんな怪我したの?」

「だって、岩の上の鷺草を採りたかったの。
採ろうとしたら足元の岩が崩れて・・・」

「また無茶したな。
やっぱりおまえって一人にしておけないよな!」

「でもほら。さっきの人がね、鷺草とってくれたの。」

そう言って鷺草を見せると

「ふ、ふ〜ん。」

壱号君はまた不機嫌な顔をした。

「あ、あー、おまえ!さっきのやつのこと、
ちょっといいなっとか思ってるだろ!」

「えー?」

「そ、そりゃなかなかいい顔だちしてたもんな。」

「何言ってるの?壱号君。」

壱号君は顔を赤くして目をそらす。

「私が好きなのは壱号君だけだよ!」

自然に出てしまった言葉。
壱号君は一瞬私を大きく見開いた目で見た後、
足首に視線を落とし言った。

「こ、この足の怪我・・・や、やばいな。」

「・・・・・」

「・・・・・」

「俺さ。」

壱号君は視線を落としながら言う。

「おまえに気のきいたこと言ってやったり
気のきいたことやってやったりしようと思うんだけど――。

なんかうまく言えなかったりできなかったりする・・・

そうしようとするとすごくなんかこう・・・
胸が苦しいっていうかドキドキして死にそうになる。」

壱号君・・・

「さっきのやつみたいなのに比べたら・・・
いやになるだろ、こんな俺。」

「ううん、そんなこと言わないで。」

少しの沈黙。


「でもさ、俺、おまえが好きっていう気持ち、
絶対誰にも負けないから。」

壱号君は言ってしまった!というような顔をした。

「壱号君。」

いつも照れて言えない壱号君だからこそ、
こういうときの一言がとても嬉しい。

私は笑顔でその言葉に答える。
壱号君がやっとやさしい笑顔になった。


いつのまにか空が黒い雲に覆われていて
夕立がやってきた。
岩の上に立つ大きな木は雨宿りにちょうどよかった。

「足の怪我もひどいみたいだし。
ここでやむまで待ってよう。」

「そうだね。」

雨がやむまで。
雨音と川の流れる音。
そして、いつのまにか笛の音。

壱号君の笛だった。
彼のこの笛の音はなぜだか懐かしい、切ない気持ちになる。
それから、最近。


言葉にできない彼の気持ちが伝わってくる。


そっと壱号君に寄り添う。
笛の音が止まった。

「壱号君、笛は?」

壱号君を見上げると私を見ていた。


「――顔にも・・・怪我しちゃったな。


 ごめん。一人にさせて


 悪かった・・・」


「うん・・・」

うつむいた私の肩を壱号君がギュっと抱き寄せた。
顔をあげると壱号君の瞳の中に自分がいた。

不器用だけれど、温かい口づけ。

2人ドキドキする鼓動は雨音と川の流れる音が
そっとかくしてくれているみたいだった。






夕立がやんでから壱号君がなんとか『山ほど』の鷺草を
集めきった。

私はとても歩けるじょうたいじゃなかったので
壱号君が背負ってくれると言った。

「で、でも壱号君、はずかしくない?」

「そんなのどうでもいいだろ、
 こうでもしなくちゃ帰れないぞ。」

「そうだね。」

人通りが多い道に入ると
すれ違う人に見られている。

「ごめん、やっぱりはずかしいよね・・・」

「気にすんな!」


照れやなのに、こういうときは堂々としてくれる。
実はとても頼りがいのある人。

「しっかし・・・重いな。」

「え!あ?あー、ひどいー!
 
 もういい!降りる!」

「あー、暴れるな馬鹿!」

「どうせ重いですよ!」

「っんと重いわ・・・」

「もう!」

このままずっと2人きりでいれたらいいのにな。
壱号君、大好きだよ。


【文月鷺草】完


*****************************************

お読みいただきありがとうございました。

ゲームと同じく進展は少ないけど
壱号君と参号だと学生のピュアな恋愛なイメージがあります。
続きがかけたらなーとも思います。
何かいいのが思いついたら。

このお話に出てきた名無しの素敵な人、
私の理想から入れてしまいました( ̄m ̄* )
一応、光源氏ということでw




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posted by 菫星 at 21:06| Comment(0) | 雅恋 創作小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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