2010年12月28日

雅恋創作小説【二輪草】和泉×ライコウ×参号

【お礼(^-^)】昨日、一昨日と拍手4ついただきましたありがとうございます^^

今年もわずかになりました。
クリスマス過ぎてから大みそかまでってあっという間だよね。

雅恋の二次創作小説、和泉×ライコウ×参号編が書けましたのでUPします。
ゲームを終えて一番最初に書きたかった三人なんだけど
思ったより話作るの難しい・・・

今回のお話は参号がすっかり仕事寮に慣れたころのお話にしてあります。
糖度はあまりないかもしれませんが・・・
今回は和泉目線で書かれています。
男の気持ちで書くのってけっこうおもしろい。

ではでは、お読みになるかたはこちらからどうぞ→



和泉視点 和泉×ライコウ×参号

【二輪草】




今日の仕事寮の仕事は参号じゃないとできないな。
参号、喜ぶかな。


仕事寮の仲間たちがすでに集まっていた。
ライコウはすでに今日の仕事の分担を伝え終わっていた。

「ああ、宮、やっと来ましたか。
参号殿に説明を。」

「ああ、待たせたね。
 式神ちゃん、今日は君にしかできない仕事があるんだ。」

「私しかできない仕事。ですか?」

「うん。平安京から少し北にある屋敷に住む小さな姫君に
 菓子とお花を届けてほしいという依頼なんだ。
 それで、遊び相手もしてあげてほしいということでさ。」

「まだ小さな姫君なんですね。はい!まかせてください。」

「ありがとう。俺とライコウがついていくから安心して。」

「はい。」

「それで、君には着替えてもらいたいんだ。
先方にはとある貴族の姫君が行くということになっているからね。」

「着替える?」

「うん、とりあえず着替える部屋に行こう。
 ライコウ、牛車の準備を頼むよ。」

「わかりました。」

参号、喜ぶかな。
今日は十二単を着させてあげられる。
彼女はいつも貴族の姫君達を見て『綺麗だなー』と言っていた。
ずっとずっと着せてあげたかった。
その機会がやっと来た。

「その部屋に入って。俺は外で待っているから。」

「はい。」

彼女は二コリと笑って部屋に入って行った。
ライコウより先に彼女の十二単姿をこの目にするんだ。
はあ・・ほんとは俺と参号2人きりで行きたいものだ。

どうにか2人きりになれる方法はないかな。
鴨川の川縁で花を摘んでいこう。
その時に・・・





「おまたせしました。和泉。」

衣擦れの音とその声に振り向いた。

胸がドクンとした。
いつもと違うおろされた髪に紅梅色の唐衣。
こんなにも・・・かわるのか・・・

「あ、あの、和泉・・・私、変ですか?」

照れながらそんなことを言う彼女があまりにかわいくて
俺は見惚れてしまっていたと思う。

「式神ちゃん、とても綺麗だよ。」

もっと何か言ってあげたいのにうまく言葉が出てこない。
なんていうのか・・・まるで桜香る春風のような・・・

「あの、そんなに見つめられると・・・
 恥ずかしいです。」

「あ、ああ、ごめん!つい見惚れちゃって。」

思わず出た言葉に彼女は真っ赤になる。

「姫君、お手をどうぞ。」

そう言って差し出した手に彼女が照れながら触れる。
そっとやわらかくて細い手を握りゆっくり歩く。

このまま、連れ去ってしまえたらいいな。
どこか――遠くへ。

「君は今日、姫君になるわけだから、呼ぶ時も
姫と呼ぶよ。いい?」

「恥ずかしいですけど、嬉しいです。」

二コリとする彼女に俺も二コリと笑顔で返す。
良かった。喜んでもらえて。

階(きざはし)に牛車を止めてライコウが待っていた。
参号を見たライコウの顔が紅潮するのがわかった。

「慣れていないだろうから、足元気をつけて。
さあ、牛車に乗って。」

「はい。」




牛車はゆっくりと進んでいく。

「和泉、私、慣れていないせいか苦しいです。」

牛車の中から彼女が言った。

「大丈夫?気分悪くなったらすぐ言って。」

「うん。ありがとう。まだ大丈夫。」

鴨川の川縁が見えてきた。
思った通り、いろんな花が咲いている。

「ライコウ、ここで花を摘んでいこうよ。」

「はい。」

牛車を止めた。
「姫君はこのままお待ちください。その格好では
ちょっと動きにくいだろうから、俺達が花を摘んでくるよ。」

「私も行きたいけど・・・お任せします。」

参号はちょっと残念そうな顔をする。
確かに一緒に花を摘みたかったな。
十二単もいいけど、楽しそうに花を摘んでいる姿の
参号の方が彼女らしいかもしれない。

「ライコウ、あっちの方の花も摘んできて。」

「ああ、あれですね。わかりました。」

川の少し上流を指さして言った。
ライコウには悪いけど2人だけになれる時間
作りたいから。

あった。すみれ、ヤマブキソウとミヤコワスレ、二輪草。
少し多めに採って。

ライコウが上流に向かって歩いているのを見て
牛車に走った。

牛車の上げた前簾の奥に退屈そうにしていた参号に駆け寄り
声をかけた。

「姫。」

「和泉。」

「花、摘んできた。これは先方へ届ける分。」

「わあ、可愛いお花がいっぱいですね!」

遠くに見えるライコウをチラっと見て
牛車に乗りこんで前簾を下ろした。

「それから。これは君に。」

小さく作った花束を差し出した。

「わあ、私にですか?
 和泉、ありがとう!」

彼女は目を輝かせて花束を受け取る。
花を眺めてその花束をこめかみに持っていく。
そして俺を見て言った。

「似合いますか?ふふ。」

恥ずかしげに笑う彼女に胸の鼓動が速くなる。
思わず抱きしめたくなる衝動に駆られる。

彼女の手元の花束から二輪草を1輪抜き取り
彼女のこめかみあたりの髪に挿した。

「似合うよ。」

ほのかに頬を赤くした彼女の瞳が俺を見る。
無意識に彼女の頬に手を伸ばしかけた―――。


「宮、摘んできました!」

ライコウの叫ぶ声で我に返った。
もう戻ってきたのか・・・

「宮、牛車の中にいるのですか?」

御簾を上げて顔を出した。
「うん。」

ライコウがいつものあの顔をする。
(宮、あまり参号殿と親しくなってはいけません)
そう言っている顔だ。

「参号殿、この花を中に。」

「わあ、雪柳ですね。こんなにたくさん。
  ―――あ。」

参号がライコウの顔を見てクスクスと笑いだした。

「ライコウさん、顔に泥がついてますよ。」

そう言うと彼女は手でライコウの頬についた泥をそっと拭う。

「あれ、おちない。くふふ。」

ライコウの顔が真っ赤になった。
まるでゆでタコみたいだ。
なんだか・・・・2人が眩しく見えて
胸がズキズキとする。

いつもライコウにいいところを持っていかれる。
しかも本人はまったく無意識で。
天然なライコウがうらやましいよ。

「さ、そろそろ行こう。」
2人のやりとりを見かねて俺は言った。




お屋敷に着き、小さな姫君にお花とお菓子を渡した後、
小さな姫君は参号がとても気に入ったらしく
人形遊びを始めた。

俺とライコウは庭の庭石に腰かけそれを眺めていた。

よく表情をころころ変えるんだな。
よく笑うし。
彼女は不思議な魅力がある。
きっと誰もが惹きつけられるんだ。


一人占め・・・したいな。


ライコウをチラッとみた。
ライコウの目も彼女をずっと追っている。
間抜け面だな。

っと、うわ、ライコウがこっち向いた・・

「宮。どうかなさいましたか?」

「え、ああ、いや、別に。」

「宮、この仕事、参号殿に頼んで良かったですね。」

そう言うとライコウはまた彼女の方を見て微笑む。
ライコウは自分では気が付いていないだろうけど
参号を見るその目は特別な思いを抱いているって
俺にはわかるよ。




日差しが傾き、遊び疲れた小さな姫君があくびをしたのを限に
帰ることにした。

「お姉ちゃん、また来てね。」

「はい、姫様、また遊びましょう。」

牛車に参号を乗せた。
牛車がうごきだしても参号は小さな姫君が
みえなくなるまで手を振っていた。
前簾を下ろしたあと、

「ふう。」

と中から参号のため息が聞こえた。

「姫、お疲れ様。」

「・・・・」

「参号?」

返事がなくて気になった。

「参号、前簾を少し開けるよ。」

覗くと顔いろの悪い参号と目が合った。

「参号・・・ライコウ、ちょっと止めて。」

「どうしました。宮。」

「参号が具合悪そうだ。ちょっと俺も乗る。」

「わかりました。」

参号の手を握ると冷たかった。

「和泉、気分が悪いです・・・」

「大丈夫か?」

参号の背後に座り彼女の肩をかかえた。
「参号、俺に凭れていいから。楽にして。」

彼女重みを感じて力が抜いたのがわかる。

「慣れない装束のせいか、胸が苦しくて・・・」

「そうだな、慣れないのに長時間過ごしたせいかもしれない。
 少し緩めよう。」

「で、でも・・・」

「大丈夫だよ、牛車の中なら誰にも見られないし
 内裏に着いたら階の近くの部屋に入ってしまえばいいから。」

「はい。」

彼女を支えながら片手で裳と表着の結び目を緩める。
なんだか、妙にドキドキする。

参号の髪が頬に触れて思わず彼女を見ると
思ったより顔と顔が近くて・・・
目が合った。

その表情はどうしていいか戸惑っている感じだった。

やっている行為が急に恥ずかしくなって焦った。
手を止めた。

「ご、ごめん!
 なんか、すごく君に失礼なことしてるかな。」

「あー・・・あの、いえ、すごく楽になりました。」

そういうと目をそらした。
そして両袖で顔を隠した。

その姿が自分の中の何かを止められなくした。
彼女を抱き寄せてギュッと抱きしめる。

「和泉?」

「ごめん、止められない。君のこと、こうしていたい。」

「和泉・・・」

どうかまだ、内裏につきませんように・・・
ライコウに気付かれませんように・・・

抱きしめる彼女の体から、力が抜けていくのを感じる。
彼女の手が背中に触れるのを感じる。
それはこうしていてもいいっていうことなの?
参号―――

胸に抱いた彼女の髪を掻きあげた。
潤む瞳で見上げた彼女に顔を近づけたとき――

「宮、もうすぐ着きます。参号殿は大丈夫ですか?」

2人はパッと離れた。
びっくりした。

「宮?」

「あ、ああ。」

戸惑っている俺に気付いた参号が言ってくれた。

「 ライコウさん大丈夫です。おかげでだいぶ楽になりました。」

「そうか、それは良かった。階に牛車を付けます。」

参号は俺を見て照れ笑いした。
その表情に少しホッとする。
だって、君が好きという気持ちも伝えていないのに
あんなことしてしまった自分に少し後悔したから・・・

彼女に唐衣を着せた。緩めた装束が見えないように。

牛車を一緒に降りて急いで近くの部屋へ参号を連れていき
着替えをしてくれる女官を呼んだ。

牛車のところに戻るとライコウの視線が刺さるように思えた。

「な、なに?ライコウ・・・」

「宮。」

「わかってる・・・おまえが言いたいこと。」

「・・・・」

ライコウは自分の恋感情には鈍いのに
俺のことになると何でも見通してしまうようで困る。
ライコウが言いたいことはわかっているけど
その感情の中に最近嫉妬をしっかり感じる。

さっきまで自分の腕の中で感じた参号の温もり。
でもまだつかみきれない霧のような彼女の気持ち。
いつか俺だけを見てくれる日々がくるだろうか。

君が好きだって、言ってもいい日が――
牛車の中におちていた二輪草をみて
胸がチクリと痛んだ。


【二輪草】完

*****************************************

お読みいただきありがとうございました。
和泉の参号の呼び方がイマイチはっきりしなくてすみません。
参号、式神ちゃん、姫やら彼女やらと・・・

まだ彩雪と呼ばせていないので・・・

和泉の複雑な恋心うまく書きたかったのですがどうだろうあせあせ(飛び散る汗)




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posted by 菫星 at 15:49| Comment(0) | 雅恋 創作小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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