待ちに待っていたので今日からゲームにハマりたいと思っています。
その前に雅恋の二次創作小説、【花夢旅記3】がやっと書きあがりました!
とりあえず清明編はこれで完結といった感じです。
今回は糖度高めに書いたつもりですが
どうかなー?
初めての方は【夢見の小鳥】編から読んでいただくのをお勧めします。
清明×参号のお話になっています。
それでは、お読みになるかたはこちらからどうぞ→
【花夢旅記3】
清明様との旅も15日目。
旅も終盤にかかったようで都に程近い場所まで戻ってきた。
今日の仕事は貴族の邸宅で雨乞いの儀式をしてほしいとのこと。
雨が降っていない訳ではないと思うけれど
最近ここらで噂になっている私の舞いを披露してほしいらしい。
「ふん、雨乞いと言いながらおまえの舞いが目的とは。
陰陽師を何だと思っているのだ。」
やっぱり清明様、機嫌悪い・・・
「まあいい。こっちも疲れていることだし
余計な力は使わんことにする。
おまえも適当に舞いをやっておけ。
さっさと終わらせよう。」
「いいんですか?雨降らないかもしれませんよ?」
「心配いらない。見てみろ、すでに雨が降りそうだ。」
遠くの空に真っ黒な雲がこちらに向かっていた。
貴族の邸宅に着き、寝殿前に案内される。
すでに貴族の人々は待っていた様子。
綺麗な十二単の女の人たちや殿方がずらりと並んでいた。
ふと・・・和泉を思い出してしまう。
やっぱり・・・世界が違うような気がした・・・
なぜかとても緊張して手が震える。
清明様はそんな私の心が読めたのか
「彩雪。」
「はい。」
「周りは気にするな。私の笛の音に集中しろ。」
「はい。清明様。」
清明様がいてくれる。
「ほほう、なんともかわいらしい式神じゃ。」
「まるで人形じゃの。」
「式神であるからな。あはははは」
皆が笑う。
これって・・・褒めてるのか貶しているのか・・・
顔が赤くなる。
「時間がないゆえ、始めさせていただく。」
清明様がイライラを押し殺したような声で言う。
寝殿前の中央で両手をつき深々とお辞儀をしたあと、
神楽鈴を構える。
清明様と目を合わせると、清明様が笛を吹き始める。
シャン・・・
まだ手が震える。足も震える。
喉の奥に何かが詰まっているかのように緊張する。
貴族の人たちの視線が怖い・・・
『私の笛の音に集中しろ』
そう清明様が言っていた。
清明様―――
清明様を見た。
清明様と目が合う。
心の中がじんわりと熱くなるのを感じる。
清明様と見つめあいながら舞う。
時に目は神楽鈴を追うけれど
また清明様を見る。
私をずっと見ていてくれる。
その瞳はなぜか緊張を解いてくれる。
それだけじゃない。
温かい何かで覆ってくれている感覚。
まるで、ここには2人だけしかいないよう。
清明様の笛の音が心地いい。
体が自然に舞う。
シャン・・・・
舞いが終わった。
はっと我に返った。
よかった。無事終わったんだ。
「いやいや、見事な舞いじゃった。」
「見惚れてしまいましたわ。」
皆が口々に言う。
ホッとした。
寝殿に向かいまた頭を下げる。
寝殿の中央に座るおそらくここの御主人であろう方が言う。
「陰陽師。その式神を少し貸してくれぬか。」
「貸す?っといいますと?」
清明様が不安げに言う。
すると周りにいた殿方が話を遮るように言った。
「物見は終わりである。お開きと致す。」
周りの人々が立ち上がり滑るようにどこかへ帰っていく。
寝殿の御簾が下げられる。
なんだろう。清明様が話の途中なのに。
失礼だなぁ。
ちらりと横にいる清明様を見た。
下を向いて何か不安げな顔をしている。
「清明様?。」
私は小声で声をかけた。
清明様はだまったまま下を向いていた。
扇を持つ手に力を入れるようにギュっとしているように見える。
すっかり貴族の人たちはいなくなり
御簾の向こうにいる主人と2人の侍従らしき女の人がいるだけになった。
その侍従の一人が言った。
「式神、さあ、こちらに来なされ。」
「え?あの・・」
「陰陽師殿、別の部屋にてお待ちくだされ。
さあ、下がられよ。」
侍従らしき人に手を引っ張られる。
「あ、あの、どこへ?」
「殿がお気に召されたのじゃ。」
「え?あ・・・清明様!」
「彩雪・・・」
伸ばした私の片手を清明様がつかもうとしたけれど
もう一人の侍従が清明様をひっぱり、
手は触れることなく離れた。
「さあ、陰陽師殿、こちらへ。」
「ま、まて、彩雪は・・・」
清明様の不安な顔が私をも不安にした。
なんだろう。
寝殿の中に入り、御簾の前に座らされる。
「こっちゃ来い。かわいい式神。
褒美をやるぞ。」
御簾の向こうからさっきの御主人が言った。
清明様がいないとどうしていいかわからない・・・
偉い人だろうから、言うこときかなくちゃ・・・
行かなくちゃいけないんだよね?
御簾の下から手を引っ張られた。
きゃっ・・・
倒れたところは御主人の腕の中だった。
「あ、あ、あの・・・」
「さて、式神とはどんなものか――
試させておくれ。」
ああ、この人の目・・・
急に体が強張った。
前にも味わったことのある嫌な予感・・・
御主人の手が胸元にかかる。
清明様!!
突然御簾の向こうでガタン!という音と
ドタドタと誰かが歩いてくる音。
「またれよ、陰陽師殿!」
さっきの侍従の声。
清明様だ!
御簾の向こうから清明様が怒鳴るように言った。
「お待ちください!
けしてそのようなことをなさってはならぬ!」
御主人の手が止まり御簾の外に向かって言った。
「何事か。陰陽師。」
「式神を、こちらに返していただきたい。」
「ははは、無礼な陰陽師じゃ。」
「無礼なのはそちらですぞ。」
「何?」
「式神は陰陽師が使役する鬼神。
陰陽師のみが使える護法神であり、
ただの人が万が一そのようなことをなされば、
予期せぬことが起こるやもしれません。」
御主人の手が私からパッっと離れた。
「は、早く言わぬか!」
「彩雪、来い!」
清明様が呼ぶ。
御主人にお辞儀をして御簾の向こうへ走るように出た。
清明様は私を見るなり肩に手をまわし歩き出した。
「ではこれで失礼する!」
清明様はかなりの早歩きで、私は着いていくのが必死だった。
邸宅の外まで来ると、やっと立ち止った。
「くそ!なぜこんなことになる!」
2人で息を切らしながら見つめあう。
清明様が私の肩に両手をかけた。
「大丈夫だったか?」
「はい。」
私は二コリとした。
「清明様が絶対助けに来てくれると思ってました。」
清明様は目を丸くすると目を泳がせ自慢げな顔をした。
「ふ、ふむ。そうか。」
ふふっと私が笑うといきなり清明様が怒り口調で言いだした。
「あのな、おまえはあまりにその・・・なんだ、ほら・・・」
?
「まったく・・・か、かわいすぎるのだ!
もっと自粛しろ!自粛!!」
「え、ええ、自粛って・・・どういう風に・・・」
「知らん!とにかく自粛しろ!」
なんか清明様おもしろい。
でも、私をまた助けてくれた。
「清明様、助けてくれてありがとうございます。」
「ああなる前にどうにかしたかったんだがな。
どううまく言おうか考えているうちに連れて行かれた。」
「ああ、あの御主人に言ったことですね?」
「あれはな、思いつきだ。」
「うまいお話思いつきましたね!」
「フッ。まあな。
それにしても、貴族というやつらは気に食わん。
思いついたものをなんでも手に入れようとする。
あいつらを相手にするのは面倒で厄介だ。」
清明様はため息をついた。
ピカリ!
空が光った。
同時にドーンと雷が響く。
急に大粒の雨が降り出した。
「ほら見ろ、式神をあんな扱いをしたから空が御立腹だ。」
「ほんとですね。ふふ。」
「宿まで走るぞ。」
「はい。」
清明様が私の手を引いて走る。
その後ろ姿を見て思った。
清明様、大好きです。
宿に着き部屋に入ると灯りを灯した。
2人ともずぶぬれで雨粒が滴りおちていた。
「ひどい雨でしたね。」
「ああ。」
「清明様、拭くものこれしかないですから、
これで拭いてください。」
「おまえが先に使え。風邪をひくぞ。」
「清明様が先に!」
「おまえだ!」
2人で頭を拭き合っているような状況が
妙におかしくおもえて笑ってしまった。
「くふふふ!なんか可笑しいです。」
私の頭をくしゃくしゃと拭いていた清明様の手が止まる。
目と目が合う。
「言うことをきかないやつだな。」
そんな言い方をするけれどやさしい目をする。
この目をするときはいつも―――
清明様がそっと口づけしてくれる。
夕餉を食べた後、
清明様とこれまでの旅の思い出をいろいろ語りあった。
一緒に歩き、一緒に仕事をした。
辛いこともあったけれど、
いつでも清明様が温かく癒してくれた。
清明様の人使いの荒さには正直ついていくのが大変だけど
そのおかげで私はいろんなことを学んだ。
式神という私が、誰かの役に立っている。
自分がこの世にちゃんと存在している。
そして―――私を心から大切にしてくれて
どんなことがあっても信じていける人ができた。
清明様、あなたです。
「彩雪、どうした?ボーっとして。
阿呆面になっているぞ。」
ぺしっと扇で頭を叩く。
こんな清明様も私は好き。
「おい、どうした?」
「清明様。」
「なんだ?」
「いろいろ、ありがとうございます。」
「何だ改まって。」
「とても感謝したい気分なんです。」
「・・・・・・そうか。」
「はい。」
しばらく2人で見つめあっていた。
清明様の瞳の中で灯りの影がゆらゆらと揺れている。
清明様が手を差し出した。
「こっちにこい。」
ドキっとしたけれど、今は清明様の傍にいたいと思った。
私はゆっくりと立膝で近寄り清明様の胸に寄り添った。
「彩雪。」
清明様が抱きしめる。
耳元でささやく。
「おまえが・・愛しい。」
自然に口づけを交わしていた。
一度離れた唇はまた再び重なった。
いつもと違う口づけだった。
舌が絡み合う初めての長い口づけ。
体中が熱くなる。
苦しくて気が遠くなりそう――
ふわりと体が倒れていくのを感じた。
「彩雪、おまえのすべてを私にくれるか?」
清明様の澄んだやさしい瞳が私を見つめる。
だけど・・・
「清明様――少し・・怖いです。」
清明様がそっと耳に口づけ囁く。
「大丈夫だ。そして悪い過去は忘れろ。
和泉への想いも、全て忘れさせてやる。」
「清明様。」
目を閉じて、流れに身をまかせた。
2人の鼓動が重なり合う――
旅に出てから16日間ずっと清明様と一緒の部屋で
過ごしてきたけれど、
二人で一つの寝床で朝を迎えるのは初めてだった。
「こんなにのんびりした朝は今日くらいだぞ。」
目を覚ました清明様が寝起きのかすれ声で言う。
「そうですね。」
今日はいよいよ清明様の家に帰る。
だからできれば今朝ははずっとこうして
2人の時間を過ごしていたい。
そう思った。
清明様の家までの道のりはとても短く感じた。
2人だけの旅ももう終わり。
けれど私達はこれからもずっと一緒に過ごしていける。
清明様をちらっと見上げた。
すぐに目が合う。
言葉をかわさなくても感じるもの。
そっと自然に手を繋いでくれる。
旅に出る前にあった心の隙間は
いつのまにかすっかり清明様で埋め尽くされていた。
ありがとう。清明様。
大好きです。
【花夢旅記3】完
*******************************
お読みいただきありがとうございました。
清明編はこれで完結です。
ご感想やリクエストなどありましたら、拍手からメッセージで
お願いいたします。
清明様、いいなー。(*´ェ`*)ポッ
ではまた新しい小説が書きあがりましたらUPします。

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お読みいただきありがとうございました^^
この章で一応完結なのですがもしこの先を
思いついたら書いてみたいです^^