2010年12月19日

雅恋 創作小説【花夢旅記2】

【お礼(^-^)】たくさんの拍手とメッセージありがとうございます!
とても励みになっています。心から感謝ですぴかぴか(新しい)
後ほどメッセージのお返事も書きたいと思っています。

雅恋の二次創作小説、【花夢旅記2】が書きあがりましたのでUp。

旅記は短編のつもりで書いているのですがやっぱりお話繋がっているので
初めての方は【夢見の小鳥】から読んでいただいた方がよさそうです(^-^;

清明×参号のストーリーです。
今回はゲーム雅恋の中には出てこない、私が勝手に作ったキャラが出てきます。
これに関してご不満やご理解できない方はこの章はスルーしてください。
勝手ですみませんあせあせ(飛び散る汗)

それから今回清明様のSなところが薄れているかも。
作者の勝手なストーリー構成により、そうなっております。
ご理解ください<(_ _)>

ではお読みになるかたはこちらから→



【花夢旅記2】



清明様との旅も10日目。
しとしとと小雨の降る薄暗い日だった。

今日は清明様の知り合いの所へ行く。
だいぶ歩いてきたけど、だんだん人里離れた山道に入る。
道らしきものはあるけれど
あまり人も通らないような雰囲気。


「清明様?あの、まだ奥のほうに行くんですか?」

「もうじき着く。ああ、あれだ。」

高い木々に囲まれた古いけれど大きな屋敷が見えてきた。
琵琶の音が聞こえる。
なんともいえない寂しげな音・・・

屋敷のところどころ蜘蛛の巣があり、
この雨のせいもあるのか、
まるでお化けでも出そうな感じで背筋がゾクっとした。

お屋敷の庭から清明様が誰かを呼んだ。

「おりますか、紫月(しづき)殿」

琵琶の音が止まる。
御簾の向こう側から低くゆっくりとした声が聞こえた。

「その声―――」

ゆっくりと御簾の向こうから誰かが現れる。

透き通るような白い肌。
背は高くゆるやかに弧を描く豊かな半色(薄い紫)の髪。
切れ長の目でその気だるそうな表情はとても色っぽい。
薄い桜色の衣は肌まで透けてみえる。

その姿に女の私でさえボーっとして魅了されてしまう。

「おや、珍しい客がきた。」

「お久しぶりです。紫月殿。相変わらず・・・
その・・・変わった格好をなさっているな・・・」

清明様は扇で口元を隠し少し困った顔をした。

「ふふ、どうした?清明。
 久しぶりに私と遊びたくなったのかえ?」

・・・遊ぶって・・・どういう関係なんだろう。
清明様とこの人は。

「ほう。
 清明が女子を連れてきた。」

紫月という人が私を見た。
じっと見据えてフッと笑ったように見えた。
瞳は淡い紫色をしていた。
思わずその目に吸い込まれてしまいそうな気分になる。

「こんな山中までよく来た。疲れただろう。
 おあがり。」

部屋は質素で薄暗かった。
紫月という人はお茶の用意をしてくれると言い行ってしまった。

「清明様、あの方はどういった知り合いですか?」

清明様が一瞬戸惑った顔をしたように見えた。

「ああ、あれは紫月(しづき)という。
古い知り合いだ。
彼女は霊視という力を持っている。」

「霊視?」

「死んだ者の魂が見えるのだ。」

「え!それって・・・お化けが見えるということですか・・・」

「まあそういうことだ。」

確かに・・・普通の人とは違う雰囲気だものね。

「清明様も見えるんですよね。あの人も清明様と同じ
陰陽師ですか?」

「いや、陰陽師ではない。そういった力まではないのだ。
特殊な力を持つ者は世間からいろんな目で見られる。
だからこういった奥まったところに住んでいるのだろう。」

「ふむ。で、どういう関係なんですか?」

「紫月は霊と交渉するうちに悪霊まで憑いてしまう時がある。
その悪霊の除霊を私がこうやってたまに来て手伝う。」

「なるほど。」

紫月さんがお茶を運んできてくれた。

「清明は酒でも出した方がよかったかえ?」

「いや、今はいい。」

「で、そちらを紹介しておくれよ。」

「ああ。これは式神参号だ。」

紫月さんは呆れた顔をした。

「清明。『これは』とはなんじゃ。
しかもその名前の呼び方。」

紫月さんは私の方を見た。

「私は紫月。お前の名前は他にあるのでしょう?」

参号という名前以外に聞かれるのはとても嬉しかった。

「はい。私は彩雪といいます。」

「彩雪。よく来た。遠慮せず菓子でもお食べ。」

「ありがとうございます!」

彩雪という名前を呼ばれて思わず顔が熱くなってしまった。

「ふふ、かわいい子だねぇ清明。」

「・・・・」

ええ!清明様が顔を赤くしている!
それってどういう意味で?

さっきから思っていたのだけど。
普段あんなにSな清明様なのに
この紫月さんの前での態度はどうだろう。
まるで母上にでも久しぶりにあった男の子のよう。

清明様と紫月さんの過去が気になってきた。





「彩雪、一緒に夕餉の支度を手伝ってもらえるかい?」

「はい。紫月さん。」

外はまだしとしとと雨が降り続けている。
紫月さんと一緒に料理を作る。
紫月さんはいつもたった一人でこの家で過ごしているんだろうか。

「彩雪、手際がいいねぇ。」

「清明様の家ではいつもやっていることなので。」

「ふぅん。」

紫月さんは意味ありげに微笑む。

「彩雪は清明が好き?」

「へ?」

な、なんて?好きって?
いきなり何を聞くんだろう!
なんだか胸がドキっとした。
同時に顔が熱くなった。

「ふふ。ごめんごめん。
いきなり言われてびっくりしたかい?」

紫月さんはクククッと笑う。

なに!なんだろう、その笑い。

「気にしなさんな。さ、出来上がった。運ぼう。」

「はい!」

3人で夕餉を食べ、その後清明様と紫月さんは
お酒を飲みながら懐かしい話で盛り上がっていた。

私がいるとお邪魔かもしれない。

「あの、私片付けをしてきます。」

「おや、いいよ、ゆっくり休んでな。」

すると清明様が言った。
「そうだな、参号、片付けをしてこい。」


「は、はい・・・」

ムッ!なんか清明様に言われると・・・

何よ何よ!どうせ紫月さんと2人きりでじゃないと
話せないようなことでもあるんでしょ!
きっとそうだ。

なんでこんなに腹が立つのか・・・
それに何?このソワソワした気持ち。


薄暗い台所。ひとりだとちょっと怖いな。


『清明が好き?』
さきほどの紫月さんの言葉が頭の中に響く。

私は和泉を忘れるために清明様と旅に出ることを決めた。
この10日間、いろんなことがあったけれど
思えば日々清明様に満ちている。

それは2人だけの旅だから当然だけど
でも何をしていても清明様のやさしさを感じる。

そしてあの夜、清明様は私に言った。
私をひとりの女として見てくれていると。
私が・・・好きと・・・

そういえばあの時、好きと言われたきり
私は何も答えていない。

―――食器を洗う手が止まる。

私・・・和泉への想いはもう無くなったの?
清明様が・・・好きなの?
わからない・・・

わからないや・・・





片付けを終え、戻ると清明様が言った。

「参号、今から紫月殿の除霊をする。
おまえは先に寝ていてもかまわないぞ。
ゆっくり休め。」

「はい。」

まただ。私はお邪魔ってわけね。
なぜか寂しい気持ちになった。

「清明・・・・」
紫月さんが呆れたように言った。

「清明、名前を呼んでおあげよ。
 彩雪と。」

清明様の顔がまたほのかに赤くなる。

「あ、ああ。」

紫月さんがクククッと笑う。

「では紫月殿、行こう。」

清明様はそう言って紫月さんと部屋を出て行った。




寝床に座り揺れる灯りを見ていた。

清明様、私のことが好きって言っておきながら・・・
あんな色っぽい綺麗な人と一緒にお酒を飲んだり、
2人きりになったり・・・

私の知らない2人の過去があったり・・・

や、やだ、気になってしょうがない!

除霊って・・・私はお手伝いしなくていい儀式?
どんなことをするの?
気になる・・・
そーっと見るだけならいいよね。


忍び足で灯りの漏れている部屋を目指した。
御簾は上がっていた。

耳を澄ますと清明様が呪文を唱えているのが聞こえる。

こんなことしていいのか・・・戸惑ったけれど
几帳の間からそっと覗いてしまった。

その瞬間、心臓が飛び出るかと思った。
声まで出そうになったけどあわてて両手で口を押さえた。

2人はとても近い距離だった。
しかも紫月さんは肌をあらわに・・・

後ずさりした時に、後ろにあった几帳を踏んで
カタンと音を立ててしまった・・・

紫月さんに気付かれ目が合った・・・

いそいでその場から音をたてないように走り去った。

どうしよう、
見ちゃいけなかったかも・・・

胸が・・・痛い・・・
この痛み
これは・・・

部屋に着き、息を切らしながらその場に立ち止った。

2人の距離があんなに近かった。
ううん、でもあれは除霊をしていたんでしょ。
ああ、でもいやだ・・・

力が抜けてペタリと座り込んだ。
胸が苦しい。

清明様・・・

「彩雪。」

びく!振り向くと紫月さんがいた。
顔が火照る。
私の表情を見るとまたクククッと笑った。

「おまえ――

 清明が好きなんだね。」


「紫月さん・・・」

「見てしまったんだろう?
あれはね、いつも清明にやってもらう除霊だよ。
何も2人やましいことをしていたわけじゃないよ。」

「わ、わかっています。」

「ふふ。ほんとなら、式神であるおまえも
一緒にやってもらうところだよ。
でもさ、ほら、そうやって驚かれるだろうと思ってね。」

「・・・・」

「確かに。過去私達は今おまえが疑うような仲だったこともあったよ。」

やっぱりそうだ・・・

「久しぶりに会えてあのころのような気分になったけど。

清明にふられてしまったよ。」

「え?」

「今はとても――愛しい子がいるんだとさ。」

紫月さんは私の目を覗き込むように言った。
顔に血がのぼるのがわかる。

「あはははは、ほんとにまったく。かわいいこだねぇ。」

「し、紫月さん、からかわないでください・・・」

「ふふ。ごめんよ。

でもまあ、彩雪?自分の気持ちに素直になってごらん。

答えは自(おの)ずと見えてくるよ。」

そう言うと紫月さんは部屋から出て行った。


・・・・

『愛しい子がいるんだとさ。』

その言葉で胸の苦しさが甘い痛みに変わった。

私、清明様が――好き――なの?
和泉への想いが消えたとは言い切れないけれど
それを忘れてしまうほど清明様が
私の心の中をうめている。



清明様が戻ってきた。

清明様は怒ったような顔をしている。

「まったくおまえは・・・覗くとはどういった趣味だ・・・」

!紫月さんたら、私が見ちゃったの清明様に言っちゃったの?!

「な、仲がよろしいんですね!紫月さんと。」

過去にいろいろあったんでしょ?っと言ってやりたかったけど
それを聞いたことは内緒にしておこう・・・

「なんだ?焼きもちか?」

でた!意地悪な目!

「ち、ちがいます!もう・・・
清明様なんて・・・知りません!」

いろんな思いが交差して何て言っていいかもうわからない。
清明様に背を向けて寝床に潜り込もうとした瞬間、
腕をつかまれ気がついたら清明様の胸の中だった。

「彩雪――」

胸に甘い痛みが走る
清明様が私の名前を・・・

「心配する必要はない。おまえが好きだといったはずだ。」

「清明様・・・」

「私のことを信じられないか?」

私は清明様の胸のなかで首を振った。

「ふっ。ほんとにおまえは愛おしいやつだ。」

いつものようにギュッと抱きしめてくれる。



「なあ。お前の気持ちを・・・・

聞かせてくれないか。」


『自分の気持ちに素直になってごらん』
紫月さんの言葉。
思った気持ちを言葉にすればいい・・・

「清明様・・・私も。
私も清明様が・・・・好きです。」



「彩雪。」


清明様の手があごに触れ、上を向くようにと誘導する。
目と目が合う。
清明様の顔が近づく。

唇にやさしい、温かな感触。
やわらかい・・・
自然に閉じる瞼。

清明様――

ふわりと宙に浮くような・・・そんな感覚に
包みこまれる。

ゆっくりと唇が離れそっと目を開ければ
清明様のやさしい瞳。

私は、この人が好き。
清明様の胸に顔をうずめた。

望むとおりに清明様はギュっと抱きしめてくれる。
ずっとこうしていたい。






「もっとゆっくりしていけばいいのに。」
紫月さんが眩しそうに空を見上げる。

今朝はいいお天気になっていた。

「いろいろ仕事が入っているからな。」

清明様も空を仰ぐ。

「今度来た時は2人の土産話を楽しみにしているよ。
ね?彩雪。」

紫月さんは私の顔を覗き込む。
なんだかこの人には私達のこと全部見透かされているような気がして、
顔が火照ってしまう。

「まったく、この子はすぐ顔に出る子だよ。ククク。」

この人ってまだ会って1日なのに
なんだかお姉様のような、そんな親しみを感じる。

「紫月さん、また遊びにきます!」

「ああ。またおいで。」

細い目をさらに細くして微笑んでくれる。
紫月さんも、私を妹のように思ってくれていたらいいなと
そう思った。

「さ、行くぞ。彩雪。」

彩雪。そう清明様が言ったのに紫月さんは小さく驚いて
私と目を合わせまた微笑んでくれた。

「ふふ。さあ、お行き。」

「はい!紫月さん、お元気で!」

手を振った。
そして今日も清明様との旅は続く。


【花夢旅記2】完
【花夢旅記B】へ

****************************

お読みいただきありがとうございました。

紫月さん、イメージ画書きたくなった・・・

参号も清明様が好き!ってことでこれからは相思相愛かな?
次は清明様のSぶりをなんとか入れていきたいんだけど・・・


ネタが浮かんだらまたがんばってみよう(・ω・)





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posted by 菫星 at 17:56| Comment(0) | 雅恋 創作小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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