2010年12月12日

雅恋 創作小説【夢見の小鳥】三の巻

雅恋の二次創作小説【夢見の小鳥】三の巻(最終話)書きあがりました。

すっかり甘さのない普通のお話になってしまった・・・(・ω・)


【まえがき】


こちらは三の巻となります。
一の巻、二の巻をお読みになって無い方はそちらを読んでからお読みください。


この二次創作小説はゲーム雅恋〜MIYAKO〜を元に作者が
想像の範囲で作成したものです。
ゲーム作成元とは全く関係ありません。

なを、未熟な作品ではありますが,
無断でのコピーやご使用はなさらないよう、お願いいたします。

雅恋の時代のお話です。作者はいろいろ調べながら書いていますが
背景や物、言葉、単語において誤った使い方をしているものも
あったらごめんなさい(--;(_ _

今回のお話は参号と清明と和泉編になっています。(結果清明よりです)

三種の神器が揃った後の話になっています。
また、暁の皇になった後も宮という呼び方にしてあります。
その後はゲームとは無関係に進む可能性あります。
キャラも作者が受けているイメージで書いています。

また大変長文になっていますので携帯のかたなどはお気を付けください。

では前置きながくなりましたがOKなかたは先へどうぞ^^



【夢見の小鳥】三の巻


鳥のさえずり。
外はうっすらと明るくなり始めている。

朝だ――

『明日は目が腫れてひどい顔になるぞ。』

その通りに、いつもより目の周りが腫れぼったく感じる。
皆が起きる前にこの腫れ、引けばいいんだけど・・・
さ、朝の支度をしよう。

じっとしていると、昨日のことを考えてしまう。
だから無心でやることをこなした。

ひと段落して庭の花に水をあげていた。
誰かの視線を感じて振り向いた。

柱に寄り掛かって壱号君がこっちをボーっと見ていた。

「壱号君、おはよう。」

すると壱号君は飛び跳ねるほどびっくりしたようだった。

「あ!え!おはよう。」

そう言うと後ろを向いて立ち去ろうとしたけど、
2、3歩歩いて止まった。
そして振り向いた。

また私をじーっと見る。

「あの・・・壱号君?」

壱号君、今度は下を向いてこちらに向き直した。

「あのさ。」

頭をかきながら壱号君は照れくさそうに言う。

「ん?」

「大丈夫か?」

「あ・・・昨日はごめんなさい。みんなに心配かけて。」

「いあ、気にすんな。」



少し沈黙―――

「あのさ、清明のこと、ひどいと思ってるだろ?」

「・・・・」

「でもさ、俺、これだけ言っておこうと思ってさ。」

「ん?」

「清明はきっとお前に話さないだろうから。」

 え?


「あのアヤカシと戦った夜、
アヤカシの攻撃から和泉を守ろうと
おまえが和泉にに向かって走って行ったとき。

あの攻撃さ、あんなのまともに受けたら死んでたぞ。」

「・・・うん」

「あの時さ、清明がおまえと和泉を守ったんだ。」

え?

「清明もあの攻撃、受けたんだ。」

!!
「・・・そんな。」

「かなりひどい怪我をしていたけど
ここに戻ってからもずっとおまえと和泉の
呪を解く儀式をしていたよ。」

・・・私と和泉の・・・

「清明はいつでも俺たちのこととても大事に思ってくれてる。
とくに・・・おまえは・・・

だから、言っとこうと思った。」

「壱号君・・・」



「それだけ!じゃあな。」

くるっと後ろを向いて歩き出しながら壱号君は

「俺だって、いつも心配してるんだからな!」

と言った。
そしてドカドカと音を立てて変な歩き方で去って行った。

その姿をみて思わずプッと笑ってしまった。
心が少し、ほんわかとした。

ありがとう。壱号君。



しばらくその場に立っていた。

清明様があの攻撃から守ってくれていたんだ。
そして自分も辛い体なのに私達のために儀式を?

あんなに傷だらけの体で・・・






今日も仕事寮の仕事はあるけれど、
私は連れて行ってもらえなかった。

『やはりひどい顔をしているぞ。目の腫れが引くまで
おまえは家のことをやっておけ。』

と、清明様に言われた。

確かに今日だけは仕事寮の皆と会うのが恥ずかしかった。
清明様、あんな言い方をするけど
私に気を使ってくれているんだと思う。

ただ、こんなに静かで時間があると
またいろいろ考えてしまう。

少し、散歩にでも出よう。





ただなんとなく行くあてなくのんびりと歩いた。
でも・・・
やっぱりここに来ちゃったな。

和泉と初めて会った場所。

和泉が小鳥と戯れていた場所―――

若葉が艶々と光って風に揺れるとまるで水面のようだった。

あの時あの場面。
まるで絵巻を見ているようだった。

きっとあの瞬間だったと思う。
和泉が私の心に焼きついたのは。

初めての仕事寮で再び会えた時も
運命か何か?なんて思っていた。

一緒に仕事をしたときのことを思い返しているうちに
ふと、ライコウさんの言葉を思い出した。

『宮にはあまり近づかないように。』

あの時の言葉の意味。
そうか。
こういうことになるのをライコウさんは心配していたんだ。

いつかの斎宮になる内親王様をお送りするお仕事の時も
あんな地位の内親王様でさえ、
和泉とは叶わぬ恋になってしまうとわかったはずなのに。


私は式神だよ?・・・

はっはは・・
笑い泣きだ・・・・

私は・・・和泉と戯れていた小鳥と一緒だ・・・


夢見ていた小鳥だ・・・


涙がまたあふれてきた。
また目が腫れちゃうな。
これじゃいつまでたっても仕事寮に連れて行ってもらえないや。


ここに和泉がふっと現れてくれたりしたら・・・


でも現実はただただ、やわらかくふく風と
草木が揺れる音。
そして私ひとりがここにいるだけ。

この想いはここで終わりにしなくちゃいけないんだと
そう風が言っている気がした。





夕餉は久しぶりに清明様、壱号君、弐号君、そして私4人が
全員そろって食べた。
楽しかった。おなかがすいてたくさん食べた。
家族みたいにあったかい。


清明様を見た。
清明様が笑っている。
この方がどれだけ私を心配してくれていたのか。


昨日、清明様は私の和泉への気持ちを知っておきながら
なぜあの場へ連れて行ったのか。
いずれはこうなるのを知っていて
私の想いが深くならないうちに解らせようとしたんだね。

そうでしょ。清明様・・・

ふと、清明様と目が合った。
清明様はフッと微笑んだ。

ドキ!
なんでもない微笑みなのに。
か、顔が熱い!

焦って目をそらして目の前のご飯をとにかく口いっぱいに掻きこんだ。
うっ!ごほごほっ!

「参号・・・詰め込みすぎだ。」

清明様は呆れた顔で言った。
みんなが笑う。
私も笑っていた。






寝るときはやっぱり悲しい気分になる。
たった1日や2日で忘れられるものじゃない。
寝床に座ってぼんやりとしていた。

衣擦れの音が近づいてくる。
それが誰だか、もうわかる。

「やはり起きていたか。」

「清明様。」

清明様が傍に座った。
ふわりと清明様の香の香りが漂う。
この香りが好き。

とても気持ちが落ち着く。

私はボーっと前方を見ながら言った。


「清明様――。」


「なんだ?」


「やっぱり・・・心の奥が寂しいです・・・」


左ほほに清明様の手のひらの温もり。
その手がそっと私の顔を清明様のほうへ向ける。
清明様と目が合う。

その瞬間清明様の胸に抱かれていた。

清明様の香り。
温かい。
力が抜けていく気がする・・・


「そうだな、癒えるには時が必要だ。

 参号、

 こうしている間にも時は過ぎていくものだ。」


「はい。」


清明様が耳元に顔をうずめて、囁くように言う。


「私が・・・

忘れさせてやる―――」


清明様の腕に力が入る。


「清明様・・・・」


その言葉の意味をどうとったらいいのか・・・
ただ式神として大事に思ってくれている言葉なのか、
この腕の力から伝わるもっとそれ以上の何かがあるのか。


「参号。」


「はい。」


「私は明日からしばしの間旅に出る。」

え?

「仕事寮へはそのことは今日伝えた。」


清明様がいなくなる?


「そんな、清明様・・・」



「それでだが・・・」

私をそっと胸元から離すとじっと私を見て言った。

「昨日おまえは私のことを散々叩いたな?」

えっ!

「式神でありながら主に拳をあげるなど言語道断だ。」

あ、出た、あの意地悪な目!

「・・・・・・」

「おまえには相当な仕置きが必要らしい。」

「・・・・・・」

「っということで、おまえも旅に同行させる。」

「えっ!」

ええ!清明様と旅に?

しかも…明日・・・


「そ、そんなに急にですか?」


「ああ。おまえに手伝ってほしいこともあるのでな。」


もし旅に出たらしばらくみんなに会えない・・よね?
そしたら和泉にも・・・


「いやか?」

清明様がじーっと見る。


「まあ、いやといっても駄目だ。」

「じゃ、じゃあきかないでください!もう・・・」

やっぱり清明様は意地悪!
こんな人と旅だなんて、まさにお仕置きだ。


「よし。では明日、朝出発するぞ。良く寝ておけ。」


「・・・・」


「寝れぬなら傍にいてやるぞ。」


「だ、大丈夫です!」


「ふっ」っと清明様は笑うと行ってしまった。

・・・・

旅か・・・
このまま和泉には会えないほうがいいのかもしれない。
和泉だってきっと会ってもどう接していいのかわからないだろうから。
和泉を困らせてしまうのなら・・・

『おまえにも手伝ってほしいこともある』

私にできること。
清明様と一緒に。

『私が・・・忘れさせてやる』

清明様を信じて旅に行ってみよう。
この心の寂しさを埋めてくれる何かを見つけに。






「清明はいつも突然だよな。」

壱号君が呆れたように言う。
朝日が眩しく照らす中、旅に出る私達を壱号君と弐号君が
見送りをしてくれる。

「まあ旅といってもそんなに遠出ではない。」

「はいはい。留守はまかせてください。」

「参号、体には気いつけてな。お土産まっとるで!」

「壱号君、弐号君、仕事寮、がんばってね。」

「まかしときー。」


「ではいってきまーす。」


清明様はもうすでに歩きだしていた。
私は小走りで清明様の背中を追いかける。


「ぐずぐずするな。」ぺし!


扇で頭を叩かれる。
なんだか前途多難。

だけど清明様を見上げると
ほら。


この優しい微笑みをくれる。


今は清明様を信じてついていこう。

「はい!いきましょう。清明様。」



【夢見の小鳥】完



**********************************

最後までお読みいただきありがとうございました。

結果、甘ーいシーンも少なく・・・
和泉がかわいそうで・・(;´Д`A ```

でもこの時代、やっぱり式神が貴族や宮廷の人と一緒になることは
まず無理だと思われます・・・
秘密の恋みたいなかんじならいけるかな!
そっか。今度それで書くかな(-ω☆)!

このお話のその後も書きたくなりましたが
どうなんだろう。書いていいものかどうか。

甘ーいのかけそうなシチュエーションだけど・・・
場合によっては裏になっちゃうよねw
ブログじゃかけないかなー(≧m≦)

ほぼ自己満足な小説でお恥ずかしい限りですが、
拍手をしていただいた方、とても嬉しかったです。
ありがとうございました。




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posted by 菫星 at 23:31| Comment(0) | 雅恋 創作小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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