甘〜いシーンをいっぱい書こうと思ったつもりが、ちょっと違う方向いってるかも?(・ω・)
【まえがき】
こちらは二の巻となります。
一の巻をお読みになって無い方は一の巻を読んでからお読みください。
この二次創作小説はゲーム雅恋〜MIYAKO〜を元に作者が
想像の範囲で作成したものです。
ゲーム作成元とは全く関係ありません。
なを、未熟な作品ではありますが,
無断でのコピーやご使用はなさらないよう、お願いいたします。
雅恋の時代のお話です。作者はいろいろ調べながら書いていますが
背景や物、言葉、単語において誤った使い方をしているものも
あったらごめんなさい(--;(_ _
今回のお話は参号と清明と和泉編になっています。
三種の神器が揃った後の話になっています。
また、暁の皇になった後も宮という呼び方にしてあります。
その後はゲームとは無関係に進む可能性あります。
キャラも作者が受けているイメージで書いています。
また大変長文になっていますので携帯のかたなどはお気を付けください。
では前置きながくなりましたがOKなかたは先へどうぞ^^
【夢見の小鳥】二の巻
目が覚めたのはすっかり日が昇ってからだった。
病み明けなので寝坊も許されたみたい。
2日前の夜、アヤカシとの戦いで呪のかかった重傷を負った。
でも清明様の懸命の儀式でたった2日でこんなに回復できた。
清明様はすごい。
『明日。仕事寮へ行く』
昨夜、最後に残っていた呪を身固めの儀で祓ってくれた後
清明様はそう言った。
今日は仕事寮へ行ける。
和泉に会えるかもしれない。
会いたい。
3種の神器が揃った日、
和泉は暁の皇となった。
遠い存在になってしまうと思った。
でも彼は私に変わらぬあの笑顔で
『和泉。この呼び方でいいと言ったはずだよ。式神ちゃん。』
その笑顔がその言葉が意味するものが
どうか私への特別なものであってほしい。
待ち遠しかった仕事寮へ行く時間が来た。
いつも門の出口に集まるときみんなを待たせるのに
今日は私が一番だった。
壱号君と弐号君がしゃべりながら歩いてくる。
私を見るとびっくりしたように言う。
「なんや、参号も行くんかいな。」
壱号君もびっくりした顔をした。
「おまえ・・・行っていいのか?」
「うん。清明様のおかげでほら!すっかり元気です!」
壱号君、今度は少し不思議そうな顔をする。
「清明様がいいって言ったのか?
だって、昨日普賢丸が・・・んんん!」
急に弐号君が壱号君の口を翼で覆う。
「まてまて!アカンって!」
「んだよ!弐号!」
「ちょっとこっちこっち!」
弐号君が壱号君をひっぱりながら私から距離をとる。
2人は私のほうをちらちら見ながら何やらこそこそと
しゃべっている。
・・・昨日普賢丸が?
普賢丸が来る時は何か宮廷から知らせが来る時だ。
何かあったの?
でも深刻そうな感じではなさそうな雰囲気?
そこへ清明様がやっと来た。
「セーメイ、セーメイ」
弐号君が清明様に駆け寄る。
清明様と何やらこそこそとしゃべっている。
な、なんだろう・・・
私が仕事寮へ行ったらいけないのかな。
こそこそ話なんてして、なんかすごく気になる。
清明様がこっちを見た。
「さ、行くぞ!」
ほら、行ってもいいんだ。
「はい!」
大内裏へ向かっている道中、壱号君がしきりに私を見る。
何か言いたげな顔で。
気になるけど、仕事寮に行ける、和泉に会えるという
ことで私の頭の中はいっぱいだった。
仕事寮にはまだライコウさんだけしかいなかった。
私たちを見るとライコウさんが少し驚いた顔で立ち上がり
「せ、清明、普賢丸の文は届かなかったか?」
「文は届いた。」
「で、では・・・」
?
ライコウさんが私を見る。
清明様がその視線を自分に向けるように少し大きめの声で言った。
「私達はここへ仕事寮の仕事をしに来ている。
私情のために休ませる気はない。」
「・・・・・」
ライコウさんは言葉に詰まったまま清明様を見る。
その視線を再び私に向けて言った。
「参号殿、無事で何よりだった。思った以上に元気そうだ。」
「はい。ご心配おかけしました。」
和泉は・・・と、聞きたかった。
でも場の空気がそう言いだせない感じだった。
「参号さん、もう大丈夫なのですか?」
穏やかないい声が響く。
源信さん。
「源信さんこんにちは。はい。もう大丈夫です。」
「そうですか。あまり無理はしないでくださいね。」
ライコウさんも源信さんもホッとしたように微笑んでくれた。
「揃ったところで、今日の仕事の分担を。」
ライコウさんが話を始めた。
――え、和泉は今日来ないのかな。
「まず、清明は文でも伝えたとおり、宮をお願いする。
拙者も宮の所へ行く。」
清明様に和泉をお願いするって・・・どういうこと?
「今日は依頼は一つのみにしておく。
とある貴族からの依頼で祭り事用の楽器をそろえてほしいとのことだ。
これは源信殿と壱号と弐号にお願いする。
参号殿も――」
「参号は。私と来てもらう。」
ライコウさんの言葉を遮るように清明様が言った。
「し、しかし清明・・・」
「さて、行くぞ。」
ライコウさんは清明様を怒ったような顔と困った顔が
混ざった複雑な表情になった。
今朝からみんなが私を和泉に会わせたくないような雰囲気を感じる。
まさか、和泉の容態がとても悪いとか・・・
でもそこまでみんな深刻な感じでもないし・・・
とにかく早く和泉に一目会いさえすればいいと今は思った。
清明様とライコウさんの後についてはやる気持ちを抑えながら歩いた。
「参号。」
振り向かないまま清明様が言った。
「ここから先は私語は一切するな。いいな。」
「はい・・・」
そうだ。和泉は皇という位についたんだ。
高貴な方たちの部屋へ行くのだから当然だ。
・・・本当なら、式神という立場でこんなところに来れないんだ。
清明様がいなければ・・・
豪華なきちょうや屏風・・・
私は部屋の外で待つように言われた。
中から女の人の声がする。
「私もこちらにいてよろしいですか?
宮様の御傍にいたいのです。」
ドキっとした。
ライコウさんがこっちに歩いてくる。
その表情はとてもひきつっている。
「参号殿。清明が呼んでいる。中へ。」
「は、はい。」
とても緊張する。
なんだか違う世界に入っていくような気がする。
歩く音さえ気になる・・・
広い広い部屋。
御簾のかかった高座の前に清明様が座っていた。
清明様の斜め後ろに座った。
「宮、清明が参りました。」
「うん。そちらにいく。」
和泉の声。
胸に熱いものがこみ上げる。
良かった・・・和泉・・ほんとうに無事だった。
「御簾は上げてしまって。」
御簾の向こうから衣擦れの音。
和泉――
和泉がとても綺麗な方に手をひかれて出てきた。
「御足もと、御気をつけくださいませ。」
胸が・・・一瞬握りつぶされたような痛み。
和泉が女の人に手をひかれて出てくるなんて
この大内裏でびっくりするようなことじゃないよね。
気にすることなんて・・・・
でもこの胸はいつまでも痛みが消えなくて。
眩しいほどの十二単を纏っている。
綺麗な人・・・
それにくらべて、私・・・
今私、どんな表情している?・・・
和泉と目が合った。
和泉は一瞬止まった。
「参号。良かった元気に・・・」
和泉の目が輝き一歩足を前に勢いよく出した。
でも私の表情をどう受けたのか・・・
和泉はハッと足を止めた。
今のこの状況。
この空気。
この沈黙・・・・
私は自然と両手をついて頭を下げていた。
清明様がそうしていたから。
「そんなことしなくていいよ。清明も参号も。」
その声はいつものやさしい和泉の声じゃなく、
悲しげな感じに聞こえた。
「宮。では早速ですが準備させていただきます。」
「うん。」
脇息に持たれて和泉が座った。
その隣に綺麗な人も座る。
「参号。」
清明様がやっとこれから何をするのか説明してくれるみたい。
「宮も呪のかかった攻撃を受けたが幸い軽くすんだ。
これから身固めの儀式をする。」
ああ、昨日の夜、私にしてくれたことだ。
「私は何をすれば・・・」
「おまえは陣の外で願えばいい。
そのおまえの気持ちは儀式の助けになる。頼んだぞ。」
「はい!」
清明様が昨夜言った言葉。
『式神という立場を忘れるな。』
そうだ。私は清明様の式神としてここに来た。
今は清明様の儀式を手伝うためにも
和泉の呪が消えるよう精一杯願おう。
清明様が九字の陣を描くと陣から青い光が陽炎のように揺れた。
「宮、こちらへ。」
「拙者が御連れ申す。」
ライコウさんが言ったけれど
「いえ、私が御連れいたしますわ。」
その女の人に手をひかれ、陣のところまできた。
手を離すと和泉は陣の中央へ歩み出た。
「では。」
清明様がそう言うと扇をバサ!っと広げ
口の中で呪文を唱え始めた。
私も陣の外で座り、目を閉じた。
――和泉がすっかりよくなりますように――
清明様の扇の音が聞こえた。バサっ。
「宮、ご気分は?」清明様が言う。
儀式は終わったんだ。
「ありがとう。清明。すごいな、すっかり楽になったよ。」
私はゆっくりと目を開けた。
すぐそこに、和泉がいるのに。
会いたくて仕方なかった人が目の前にいるのに
良かった!って駆け寄りたいのに。
できない・・・・
駆け寄ったのは私ではなく、綺麗な女の人・・・
「良かった。もう大丈夫なんですね。」
ああ・・・
和泉を見れない。うつむいた。
胸がギュッと痛い。
「参号殿・・・大丈夫か。」
ライコウさんが近寄り小声で言った。
「ライコウさん・・・
あの、良かったです。和泉が元気になって・・・」
視界が揺れた。
ライコウさんと目が合って、清明様とも目が合って・・・
最後に和泉と・・・・・
この場にいれなかった。
ここにいる自分がとてつもなく情けなく感じた。
立ち上がり、あてもなく走り出していた。
とにかく、一人になりたい。
後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。
それが誰だろうと止まることはできなかった。
すぐ後ろに足音が聞こえる。
「まって・・・」
和泉だ・・・
「ねえ、まって。参号!」
「来ないでください!」
大きな桜の木・・・・向こうは壁・・・
どこへ向かえば・・・・
行く場がなくなってしゃがみこむ瞬間
後ろから和泉が覆いかぶさるように肩を抱いた。
「参号っ」
「見ないでください・・・お願いだから・・・」
「参号・・泣かないで・・・・」
和泉のやさしい声・・・
和泉が苦しいくらいにギュッと抱いてくれる。
そうしたかったのは私なのに・・・
和泉が元気でいてくれたなら
それでいい。
喜ばなくちゃいけないのに。
なのに苦しくて悲しくて涙が止まらない。
言わなくちゃ・・・
「和泉・・・無事で・・良かったです。」
「うん。君のおかげだよ。
君が命をかけて私を守ってくれた。」
すぐ耳元でささやくように言う。
「君がどんなに心配だったか。」
その言葉と先ほどの状況の矛盾に
また涙があふれる。
どこかで分かっていた。
こうなる時が来ると。
どんなに和泉が特別だと思ってくれていても
それが許される立場じゃないんだ。
いつか和泉はああいう綺麗な人と一緒になるんだ。
愛があってもなくても。
私の和泉への気持ちは
和泉にとって辛いものでしかない・・・
「もう・・・行ってください・・・」
和泉の腕の力が少し緩む。
その言葉の意味がわかったかのように。
そして私の肩に顔をうずめて言う。
「こんなに・・・君を苦しめてしまうなんて。」
もっと痛くなる。
「ごめん・・・」
もっともっと痛くなる・・・
和泉の言葉がすべて矢が刺さるように痛い。
もう、いい。
私が言わなくちゃいけないんだ。
「悪いのは私です。
勝手に自分だけが舞いあがっていました。」
和泉の手を無理にほどいた。
「仕事寮、がんばります。
和泉、また一緒に仕事やらせてくださいね。」
無意識で泣き笑いの声で言っていた。
そんなこといいたいんじゃなかった。
今日ここに来た時、ほんとに言いたかった言葉。
和泉が好きだと
たったこれだけの言葉・・・
永遠に言うことはもうできない・・・
「参号・・・」
「宮!」
ライコウさんの声が響く。
「宮、もうそれ以上は・・・」
「ライコウ・・・」
うなだれた和泉をライコウさんが引っ張っていく。
人の気持ちに鈍そうなライコウさんなのに・・・
今はライコウさんが来てくれたことをありがたく思った。
抱かれていた温もりが・・・冷めていくのを感じる・・・
あれからずっと私は何もしゃべっていない。
清明様の家に戻ってからもずっと。
自分の部屋からボーっとただただ外を見ていた。
今朝の壱号君や弐号君やライコウさんの態度の意味が
やっとわかった。
ああいう状況になることを心配して私に気を使っていたんだ。
帰りに貴族の方々の立ち話が聞こえた。
いずれ中宮となる姫君が来ていると。
あの綺麗な方のことだ・・・
清明様は・・・私の和泉への気持ちわかってると言ったくせに・・・
夕餉も食べる気はおきなかった。
一人部屋でずっと暮れていく庭を眺めていた。
遠くから弐号君の叫ぶ声が聞こえてきた。
「あんまりやで、セーメイ。だから言うたんや。」
「お、おい、声でかいって。」
ふう・・・きっと私の話題なんだろうな・・・
夜も更けて寝床についても寝れるわけがなかった。
和泉の温もりとぎゅっとする力と
それが無くなっていく時の感覚を思い出すたびに
涙があふれてくる。
どうしようもない虚しさに布団の中でうずくまる。
衣擦れの音?
誰かきたの?
「――参号」
清明様・・・
悲しくて仕方なくてどうしようもなかった。
清明様の顔なんて・・・見たくない。
「参号、何も食べないのか。」
この人は!呑気に何言うんだろう。
清明様はこうなることわかっていたんだ!
きっと私が泣いているのをみてニヤリと笑ったりしていたんだ!
握る手にぎゅっと力が入る。唇をかみしめる。
「参号・・・すまなかった」
・・・・
清明様がすまなかった・・・なんて?
「ひどいやり方だろうが、わかってくれるか?」
・・・・・
「おまえは、式神だ。宮をどんなに想おうとも、
辛い思いをするだけだ。」
・・・・!
布団を跳ね上げた。
清明様は目の前に座っていた。
視界に清明様が入った瞬間
握りこぶしで清明様の胸めがけて叩いた。
何度も何度も・・・・
「ええ!わかりました!
清明様のそのひどいやりかたで!
ええ!私は式神です。
和泉のことをどんなに想ったって
一緒になんか・・・一緒になんかなれないって・・・ヒック
好きだなんて言えないって・・・うぅ」
あふれる涙が清明様の膝にぽたぽた落ちる。
清明様は私が叩くのを避けようともしないで黙って受ける。
「どうせ、いつものように清明様は私をいじめたいんでしょ・・・
笑っていたんでしょ・・・
ひどいひどいひどい。
清明様の馬鹿・・・・」
清明様の膝にうずくまった。
よっぽど大声で叫んだと思う。
喉が痛い・・・
「少しは気が済んだか?」
「すむわけない!清明様の馬鹿・・・」
清明様は何も言い返さない。
そして私を布団にそっと寝かせてくれた。
布団の横に清明様も肘をたてて寝転がる。
親指で涙をぬぐってくれた。
「さ、寝て忘れてしまえ。寝るまでここにいてやる。」
「寝たって忘れるなんて無理です・・・」
ムスッとした顔で言ってやった。
何よ!子供扱いして!ほんとに清明様って!
「明日は目が腫れてひどい顔になるぞ。」
!!くうう、くやしい。
でも、なんだか・・・泣き叫んだら疲れた・・・
はあ・・・今日はつかれた・・・
「参号・・・すまなかった。
おまえには・・・酷だったな。」
遠くに清明様の声が聞こえる。
おでこに、何か温かい感触・・・・
やわらかくて・・・やさしい・・・
三の巻へ続く・・・
********************************
お読みいただきありがとうございました。
ラブラブにするつもりが、参号をさんざん泣かせる
話になってました(;´Д`A ```
完全に清明寄りになってきました・・・(・ω・)
ではまた続きができたらUPします。

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